校長室便り

平成29年度 校長室便り

合同朝会の表彰式:“金メダリスト”へのインタビュー
合同朝会の表彰式:“金メダリスト”へのインタビュー

 

柘植雅義

 

筑波大学附属大塚特別支援学校校長

 

筑波大学教授(人間系 障害科学域)

校長室便り21

インドネシアのチパガンディ特別支援学校と

 

 2月の良く晴れた冬の日、校門を入ってすぐの校舎前の中央にインドネシアの旗、その隣に日本の旗が並んで、ゆったりと風に揺られているのがよく見えました。

 インドネシアで最も歴史的で先進的な知的障害教育に取り組んでいるチパガンディ特別支援学校から、校長先生と教員の方々が本校を訪問し、協定を結ぶべく調印式が行われました。その校長職は、インドネシアで最高水準の障害科学・特別支援教育に関する研究・教育が行われているインドネシア教育大学の教授が兼務されています。

 この調印式に先立って昨年12月には、本校の教員2名がチパガンディ特別支援学校やインドネシア教育大学を訪問しました。その際には、見学や情報収集のみならず、地元の要請により現地の500名ほどの教員や関係者の前で、日本の特別支援教育の状況や知的障害教育の取り組みについて、講演(研修会)する機会をいただきました。附属大塚や日本の特別支援教育への期待の大きさを実感します。

 

 実は、その日は、本校の研究協議会(公開)の日で、体育館のメイン会場や、授業公開が行われた幼稚部から高等部までの各教室は、全国各地からの参加者で溢れんばかり。お目当ての教室に入れない大勢の人々が、教室の外の廊下から屈んだり背伸びをしたりして熱心に見つめていました。

 授業を公開し、いろいろな人々に見てもらい、その後、指導案(授業案)もとに、研究協議を行う、さらに、外部の専門家(その日は、筑波大やその他の大学等から10名ほど)から助言をもらう、という一連の流れも、今回のインドネシアからの来校者に知ってもらう良い機会となりました。

 他から学ぶべきことはしっかり学び、そして、逆に、他に発信すべきことはしっかり発信する、ということの大切さを改めて感じた1日でした。世界最高水準の知的障害教育を目指す附属大塚にとって、とても貴重な機会となりました。

 

本校の子どもたちへ

 毎年、いろいろな国からたくさんのお客様が、附属大塚に来てくれていますね。そして、いろいろな国の勉強をしたり、いろいろな国の食べ物を給食で作ってもらって食べたりしていますね。今度、インドネシアの学校の子どもたちと一緒に、勉強したり遊んだりしてみたいですね。

校長 柘植雅義

校長室便り20

相互依存型集団随伴性

(interdependent group-oriented contingency)

 

 先日、中学部のある学年の給食配膳をみていたら、(セルフサービスではなく)牛乳とか、おかず(ごまだれ厚揚げ)とか、ごはん(鮭ずし)とか、そしてまた、汁物(ねぎとワカメのみそ汁)とかを、皆で手分けして皆のトレーの上に順に置いていきます。置き方(位置関係)の見本絵を確認しながら対応させて。つまり、皆で、皆の給食配膳をしていく手法です。学年が違ったり、学部が違ったりすると、あるいはまた、子どもたちの実態に応じて、給食配膳の仕方は実に様々です。そして、この給食配膳は、国語や算数やその他の教科に関わる総合的な学習でもあるのです。

 

 人は、一人で頑張ることと、皆で頑張ることの、両側面があり、子どもから大人まで、そしてまた、障害があってもなくても、種々の場面でそのどちらにも遭遇します。近年になって、皆で頑張ることをより適切に促進していく手法の研究が進み、いろいろな知見が蓄積されてきました。例えば、小中学校等の通常の学級に在籍する知的障害のない発達障害のある子の社会的スキルの指導場面などで。また、知的障害のある子どもは、場合によっては、皆で頑張る、ということの意味の理解が分かりづらい場合もあることから、このような手法の効果に関する学術研究は、とても心強いです。

 

 集団随伴性とは、ある特定の行動に対する称賛(強化)が、集団内のある特定の(代表の)メンバー、または全員の遂行に応じて、集団に与えられることをいいます。リレーとか駅伝とかは、分かりやすいその例でしょう(みんなががんばれば金メダルという称賛(強化)が与えられる)。そして、集団随伴性は、集団の全員、あるいは、誰か特定の人の遂行によって称賛(強化)が得られるか、という観点から、相互依存型(全員の頑張り)、と、依存型(ある特定の人の頑張り)に分けられます。

 

 この手法の良さ(副産物)の一つとして、仲間同士で援助的な行動(仲間を励ます、援助(プロンプト)を与える、など)が出現するといった副次的効果が期待できるとされています。また、仲間と一緒に頑張ったという成就感の醸成にも繋がるでしょう。一方、集団内で上手く遂行できなかった子に、厳しい指摘が投げられてしまう、というような種々の拙さにも注意し、集団の構成や人数、標的とする課題(標的行動)、構成メンバーの実態などを考慮することが重要です。

 

本校の子どもたちへ

  附属大塚では、一人で頑張る勉強と、友達と二人で(ペアで)頑張る勉強と、皆で頑張る勉強がありますね。もし、友だちが困っていたら教えてあげて下さい。自分が困っていたら、きっとその子は助けてくれますよ。助けたり、助けられたりすることは、とても大切なことです。

校長 柘植雅義

 

校長室便り19

黄色い点字ブロックの上の白い雪

 

 先日、東京都心で、たくさんの雪が降りました。見慣れた風景が、真っ白に染まった様子は、何とも幻想的で、美しいです。

 

 何日かして、最寄りの駅から附属大塚に向かう緩やかな長い上り坂を歩いていると、上っていく人と下っていく人が通る30~40センチほどの2本の道は、雪が解けて地面が見えているのですが、ちょうどその間の点字ブロックには、ところどころに雪が積もり固まり凍結していました。いやあ、これでは、車いすの人は上手く進めないだろうな、白杖を使っている人は点字ブロックを見失ってしまうだろうな、などと思いながら学校へ。

 

 校門のところで、ある職員にそのことを話すと、雪が積もって数日した日に、家族で家の前の点字ブロックに積もった雪をスコップで取り除いたそうです。視覚障害の方が歩きやすいようにと。

そしてまた、そのことをある人に話したら、韓国では、雪が積もったら、自分の家の前の道の雪は、自分で除くことがルールとなっているとのこと(マナーではなく)。障害があるとか、ないとかではなく、道を行き交う人が歩きやすいようにと。

 

本校の子どもたちへ

 また今週も雪が降りましたね。今度の雪は、少しだけでしたね。でも、転ばないように、ゆっくりと、しっかりと、歩きましょうね。そして、もし、転んでしまった人がいたら、「大丈夫ですか?」と声をかけてあげてください。

校長 柘植雅義

校長室便り18

「〇〇先生は?」

 

 今日、幼稚部に行くと、ある子(Xさん)が、「〇〇先生は?」といって、私に話しかけてきました。すると、その子、教室の前面に貼ってある、給食時の子どもと教員を小さな磁石に見立てて示した座席配置のミニボードのところに行って、給食座席配置から外れている〇〇先生のピンク色の磁石(名前が書いてある)を指さして、また私に「〇〇先生は?」と言います。3回も4回も繰り返して言います。

 

 「〇〇先生は、3階にいます。今日は、3階の高等部です。」と言って、上の方を指さすと、マネをして、上の方を指さして「3階? 3階?」と言います。「校長先生は、これから3階に行くので、〇〇先生にお話ししておきますね。」というと、笑顔で身体を小刻みに動かして嬉しさを表現している様子。磁石には名前が漢字で書いてあるのに、色とか形とかで覚えたのでしょうか。それとも、大好きな先生の名前を特別に漢字で覚えてしまったのでしょうか?

 

 10センチ四方くらいのそのボードに、クラスの皆と先生の小さな磁石が付いています。誰がどこに座るのか、誰と並ぶのか、隣はどの先生か、テーブルとイスとの位置関係、さらには、皆が揃っているか、いない人がいるか、・・・。まさに、そのボードは、小宇宙。そして、コミュニケーション誘発機!。

 

Xさんへ

 3階に行くと、〇〇先生は、高等部の生徒と一緒に給食の準備をしていました。そして、Xさんのことを話したら、とても笑顔にされていましたよ。明日、〇〇先生が幼稚部に来たら、また一緒に遊んだり勉強したりしてくださいね。

校長 柘植雅義

 

校長室便り17

卒業写真の撮影会

 

 先日、1月の中旬、3学期の始業式からまだ1週間も経っていない日に、卒業写真撮影が体育館でありました。幼、小、中、高の各部の最高学年生とその保護者、本校の全教員が、体育館のステージ前に組まれた段に並んで行きました。

 

 すると、2名のプロのカメラマンが、カメラ操作と、人の並びや視線や姿勢や服装の整えを、順に交代しながら、写真撮影が進んでいきました。音の出るおもちゃを使ってカメラの方を見るように促すこと、手や足の姿勢を整えるように見本を見せること、「もう少しこっち」と言って指でその方向を示しながら身体もそちらの方に少し動くこと等々、知的障害のある子どもに分かりやすい働きかけが矢継ぎ早に発出されて行きました。

 

 口頭で指示するだけではなかなか難しい場合、そのような身振りやサインなどを駆使して伝えていく方法は、知的障害教育ではよく知られた有効な方法です。子どもに寄り添った方法です。実は、もう10年以上前から、その方々が本校の卒業写真を撮ってくれています。もしかしたら、最初の頃は、知的障害のある子どもの集合写真を撮るということにとても苦戦されていたかもしれません。

 

本校の子どもたちへ

 運動会や、大塚祭、そして、この前の、卒業写真の撮影会と、いつも、いろいろなカメラマンの方々が附属大塚に来てくれて、写真をたくさん撮ってくれますね。カメラマンの方々は、皆さんが学校で頑張っているところを、いつも、とても上手に撮ってくれています。嬉しいですね。

校長 柘植雅義

 

校長室便り16

「夢を見つけたら、それに向かって、

勉強とか運動とかお家のお手伝いとかを一生懸命に頑張ってください。」

(2018年1月9日 始業式 校長挨拶から)

 

 皆さん、おはようございます。今日は、3学期の始業式です。3学期の始まりです。今から3つのお話をします。一つ目は冬休みのこと、二つ目は夢のこと、三つめは3学期のことです。

 

 先ず一つ目のお話は、冬休みのことです。冬休み、楽しかったですか? お正月に、お餅を食べましたか? 焼き餅? お雑煮? お饅頭?・・・。それから、お年玉、もらいましたか? 100円もらった人? 500円もらった人? 千円もらった人? 一万円もらった人? えー、凄いですね。お家の人と相談して、よく考えて使ったり貯金したりしてくださいね。それから、バスや電車に乗って、動物園や遊園地や温泉に行ったり買い物に行ったりした人はいますか? 新幹線や飛行機に乗って遠くに行った人もいるのかな? それから、風邪をひいて病院に行った人もいるかな? 今日は、皆さん、元気そうですよ。

 

 次に二つ目のお話は、夢のことです。お正月に、夢を見ましたか? 今年は、何をしたいですか? 今年は、何を頑張りたいですか? それから、来年とか、10年後とか、そして、どんな大人になりたいですか? そんな夢を思い描くことはとても大切です。皆さんだけに、いい話をします。それはね、「大きな夢を見ると、その大きな夢が叶う。小さな夢を見ると、その小さな夢が叶う。」とうことです。だから、皆さん、大きな夢を思い描いてくださいね。そして、夢を見つけたら、それに向かって、勉強とか運動とかお家のお手伝いとかを一生懸命に頑張ってください。そうすると、皆さんの夢はきっと叶いますよ。それから、皆さんの夢を、先生方やお家の人に教えてあげてくださいね。そうすると、皆が応援してくれますよ。

 

 最後に三つ目のお話は、3学期のことです。小学部のもちつき会とか、中・高のスキー合宿とか、楽しみですね。卒業生の成人式もありますよ。そして、3月は、いよいよ卒業式があります。3学期も、健康で、元気に、楽しく、仲良く、頑張りましょう。

 

 これで、校長先生のお話を終ります。

校長:柘植雅義

校長室便り15

卒業生と保護者の会(桐親会・青年学級)50周年記念式典(2017.12.17)

祝辞

 

 この度は、桐親会・青年学級50周年、法人化40周年、真におめでとうございます。

 昭和35年(1960年)、本校がこの地に設立されて間もなくのこと、卒後の生活や余暇の充実を願って、在校生の保護者により桐親会が設立されました。

 50年前といえば、養護学校が義務化される前で、知的障害のある子どもの卒後の生活や余暇については、制度もなく、とても厳しい状況であったことがいろいろな資料から窺い知ることができます。そのような状況下にあって、国の取り組みや制度を待つのではなく、志のある保護者の皆様方が手を取り合って、わが子の幸せを願って、地道な取り組みをスタートさせたことは、特筆すべきことだと思います。

 その後、50年の月日が流れ、今日、知的障害のある子どもの卒後の福祉等の充実ぶりは、目を見張るものがあります。そして、桐親会・青年学級は、附属大塚を卒業して何年経っても、「ホーム」として返ってこられる存在として、なくてはならないものになりました。春の運動会や秋の大塚祭などには、毎年大勢の卒業生が来てくれます。既に40代、50代になった卒業生も来てくれています。

 最後になりましたが、桐親会・青年学級が、これからも、10年、20年、そして、50年と、なくてはならない「ホーム」として存在し続け、一層ご活躍してくださることを心より願って、お祝いの挨拶とさせていただきます。

 本日は、真におめでとうございます。

校長 柘植雅義

 

校長室便り14

主役

(大塚祭 2017.11.18)

 

 大塚祭は、今年も、高等部生徒による華やかな花笠音頭で始まりました。その後、各部が体育館で舞台発表をしました。

 小学部の舞台発表を、体育館端の大道具小道具置き場で立って見ていると、すぐ近くで、大学生2人がスポットライト係をしていました。一人が台本を確認しながら、スポットライトを操作するもう一人に何やら小さな声で指示をしています。体育館の反対側のスポットライトも同様で、教員ではなく大学生2人がお手伝いをしてくれていました。彼らは、大塚祭の主役ではありません。でも、子どもたちが何回も練習し、いよいよ本番で一所懸命演じる晴れ舞台を、ペアになった2人が協力して、台本に沿って光を絞ったり広げたり、色を変えたりと、上手い具合にスポットライトを当てていく姿が、何やらとてもカッコよく見えてきました。

 子どもたちの舞台発表の時、時々、客席の方に目を向けると、たくさんの保護者やきょうだいや祖父母の方々や、本校の交流先の学校の子どもたちや、卒業生らで、体育館が溢れんばかりでした。ただ観劇する人々、ではなく、子どもたちに寄り添ってくれて、大事に見守ってくれて、たくさんの拍手をしてくれていました。その方々も、大塚祭の主役ではありません。でも、舞台で演じる子どもたちと客席の方々が、何やら大きく一つに包み込まれていくような不思議な感覚になりました。

 そして、今年も、恒例の大勢の卒業生による舞台発表がありました。何曲かの歌とダンス。転出とか退職とかした教員、そして、私も舞台に上がって、彼らと一緒に楽しみました。この3月に卒業したばかりの人も、もう40歳とか50歳とかになった卒業生も。

 各部の舞台発表のとき、舞台の子どもではなく、ふと教員に目を向けると、子どもたちの傍で黒子となって的確に支援をする教員、一度も舞台には上がらない音響係の教員、舞台の下で目立たないように舞台の子どもたちに向かって支援をする教員、ピアノを弾き続ける教員、・・・。

 大塚祭の主役って、いったい誰? もちろん、子どもたち。でも、スポットライト係も、客席の方々も、何十年も前の卒業生も、そして、教員も、・・・もしかしたら皆が主役なのかもしれない、と思えてきました。

 

本校の子どもたちへ

 大塚祭、皆、頑張りましたね。どの学部も、とても良かったですよ。最後に、お家の人も一緒に皆で踊った、“2020東京オリ・パラ音頭”も、ベリーグッドでした。皆さんが舞台で発表しているときに、暗くてよく見えなかったかもしれないけど、たくさんの人が皆さんのことをずっと応援してくれていましたよ。「ありがとう!」と、心の中で言っておいてくださいね。

校長 柘植雅義

 

校長室便り13

ハンバーグの中にうずら卵が二つ

 

 朝から雨が降り続いたある日、検食を終えて給食室の前で栄養教諭と立ち話。「ハンバーグの中にうずら卵が一つ入っていました、子ども達、びっくりするだろうね、うれしいだろうね」と言うと、「一つではなくて二つですよ」と教えてくれました。どうやら、ガブッと噛みついて二ついっぺんに食べてしまった様です。

 

 そして、幼稚部に行くと、給食の真っ最中でした。いつものように、テーブルをいくつか寄せて、子どもと教師が仲良く並んで食べていました。大きなハンバーグの端から食べ始めた子に、「卵が二つ入っています」と言って指で2を作ると、急いでフォークでほじって、ほじって、そして、小さな卵が出てきて、私の方を見て嬉しそう。その様子を見ていた別の子は、スプーンの上に半分食べた卵を載せて見せてくれました。「ほら、私のハンバーグにも入っているよ!」とでも言っているように。

 

 その日は、附属大塚に登校したのは幼稚部だけでした。小、中、高等部は、前日のバザーの代休。もし、小・中・高の子も登校していて、このハンバーグを食べたら、どのような反応をしただろうと、ふと思いました。小学部のAさんは、卵を上手く取り出して並べておいて後で食べるのかな。中学部のBさんは、確か卵が好きだったな。高等部のCさんは、(私と同じ様に)大きな口でハンバーグをガブっと噛みついて二つのうずら卵を一気に口に入れてしまうのかな。

 

大塚食育キャラクター「ごこくクン」へ

http://www.otsuka-s.tsukuba.ac.jp/page2_5.html?eid=00003

 いつもおいしい給食、ありがとう。附属大塚の子は、皆、給食が大好きです。この前の、うずら卵が二つ入ったハンバーグ、とても好評でしたよ。

校長 柘植雅義

 

校長室便り12

憧れの先輩

(高等部 第2次現場実習壮行式)

 

 「何時から仕事をしますか?」「どうやって行きますか?」「どんな仕事をしますか?」 「お昼は何ですか?」「仕事は、誰が決めましたか?」 先日、高等部の第2次現場実習の壮行式が体育館でありました。小学部・中学部の児童生徒、そして、保護者の皆さんも多数の参加がありました。高等部の生徒が一人ずつ、実習先での「仕事内容」と「目標(頑張りたいこと)」を話し終えた後の、質疑応答タイムのこと。小学部や中学部の生徒が、次々と質問していきました。

 

 そういえば、こんな質問もありました。「高等部○年生の△さんに質問です。△さんは憧れの先輩です。△さんの夢は何ですか?」 本校では、小学部や中学部の児童生徒にとって、高等部の生徒は誰も皆、カッコいい憧れの先輩なのです。

 

 壮行式が終わり、参加してくださった保護者席のところに行って、お礼方々、いかがでしたか?と感想を聞くと、何人かの保護者の目に涙。5年後、10年後の、我が子の逞しい成長を思い浮かべたのでしょうか? 楽しみですね。

 

高等部3年生の皆さんへ

 附属大塚での最後の実習ですね。そして、半年後には卒業式。皆さんは飛行機です。附属大塚は空港です。いよいよ皆さんは、滑走路をゆっくりと走り始めるのですね。そして、少しずつスピードを上げていって、半年後には、空高く飛び立っていくのですね。附属大塚は楽しいですね。でも、空高く飛び立つと、もっと楽しい世界が広がっていると思いますよ。

校長 柘植雅義

 

校長室便り11

台風とコロッケ

~『科学的根拠(エビデンス)』~

 

 先日、大きな台風の接近と通過の只中、3日間に渡って、特別支援教育に関する全国的な学術学会が名古屋国際会議場で開催されました。附属大塚の教員も多数参加し、彼らのポスター発表やシンポジムは何と24件に達しました。おそらく、本校としてもこれまでにない多くの発表で、国内の1000校を超える特別支援学校の中でも最も多い件数だったようです(発表論文集から)。いや、もしかしたら、世界的に見ても珍しいのではないでしょうか。

 

 附属大塚は、『教育憲章』の中で、5つの事項を掲げていますが、上記の学会発表というのは、その内の3番目と4番目の、「○学術研究に基づく確かな指導・支援を行います」「○成果を国内外に広く発信します」に深く関わることです。(2016年 校長室便り20 教育憲章)

 

 知的障害教育に関する書き込みが、ネット上で溢れています。しかし、時に、「その主張の科学的根拠(エビデンス)って、あったかな?」とか「これは、明らかに間違っている!」と思われるようなものに出会って、とても残念な気持ちになることがあります。そして、そのことを信じて、誤った指導・支援が学校や家庭や地域でなされていくかもしれないと思うと、ぞっとします。

 

 台風が来ると(近づくと)、コロッケを買いに行こうとか食べようとかのつぶやき(投稿)がネット上に増えるようです。一方、台風が来ると(近づくと)、パンとかカップ麺とか飲料水とかの日持ちの良いものが確かに売れるようで(大手流通各社)、しかし、コロッケの売り上げには大きな影響はないようだ(大手流通各社)、ということを聞いたことがあります。

 

本校の子どもたちへ

 2学期が始まって3週間が経ちました。いかがですか。学びの秋、スポーツの秋、読書の秋、といろいろチャレンジできそうですね。そういえば、この前の3日間、皆さんのたくさんの先生方が、いろいろな勉強をしたり発表したりしていましたよ。皆さんの先生方がどんな勉強をしているか、今度、聞いてみてはいかがですか。

                                                      校長 柘植雅義

校長室便り10

因果関係と相関関係と知的障害教育

 

 知的障害のある子どもに、ある指導・支援をして、その子の学びや行動に変容が見られたとき、原因(指導・支援)と結果(子どもの変容)の繋がりが予想されます。その繋がりが確かに確認されると因果関係となります。

 一方、そのような繋がりは確認できないが、でも、その指導・支援を繰り返すと、そのような変容が子どもに起こることが多そうだ、といったこともありえます。このレベルは相関関係です。その指導・支援とは別に、学校での他の時間帯に別の指導・支援が行われていることが、あるいは、学校ではなく家庭とか地域とかに別の指導・支援が行われていることが、その変容に関係していたり、それこそが正により強固な因果関係となっていたりする場合もあります。

 実は知的障害教育において、この因果関係を突き止めていくことは簡単ではありませんので、教師にとってはプロの腕の見せ所といった感じです。

 

 「その指導・支援は、その子に効果があるのですか?」と問われたら、上記のような、因果関係とか相関関係とかの関係性を基に、効果があると考える根拠を相手に説明していくことになります。

 本校が2016年4月に策定した「教育憲章」の3つ目の項目「学術研究に基づく確かな指導・支援を行います」は、より確かで効果が期待される指導・支援が展開されていくことへの願いです(2016年 校長室便り20: 教育憲章)。

 

(問:下記の「本校の子どもたちへ」のロジックは、因果関係?、相関関係?、それとも・・・)

 

本校の子どもたちへ

 毎日の勉強とか運動とか給食とか、楽しいですね。でも、良く分からないとか、速く走れないとか、上手に食べられないとか、・・・そんな時は、先生に教えてあげてください。そうすると、附属大塚が、もっと楽しくなっていきますよ。

校長 柘植雅義

校長室便り9

「お兄ちゃんに付いて来たの? お兄ちゃん、好き?」

(2017年9月1日 2学期始業式の朝)

 

 9月1日(木)の朝、附属大塚の正門に着くと、警備員の方が、すでに子どもたちの安全確保を始めて下さっていました。そして、門の右奥に目を向けると、滑り台とかブランコとか新幹線とかの遊具の手前で、用務員の方が、枯葉を集めていました。そして、門の正面に目を向けると、事務室の前を一面に2階部分まで緑の蔓や葉が伸びて、何やら小さな黄色い花も。よく見えないので、あの小さなきれいな花は何だろう?と思い、ちょうど出勤してきた教員に聞くと、ゴーヤとのこと。曇りがちな朝なので、緑を背景に小さな黄色がとても輝いて見えました。

 すると、背後で声がするので振り返ると、小学部の小さな男の子が、お母さん、お父さん、妹さんの4人で、正門前の横断歩道を正に渡り始るところでした。ゴーヤの花のような黄色のワンピースを着た就学前の小さな女の子が、私を見つめてほほ笑んだので、「お兄ちゃんに付いて来たの? お兄ちゃん、好き?」と聞くと、恥ずかしそうにお母さんの方を見て小さな声で、「好き」というような声が聞こえたような。お兄ちゃんの登校に初めて付き添ったのでしょうか。

 9時過ぎ、体育館で2学期の始業式が始まりました。今年も1年前と同じように、楽しかった夏休みのこと、防災ということ、そして、2学期のこと、の3つの話をしました(「引き渡し訓練/引き取り訓練」(2016年 校長室便り10: 2016年9月1日 2学期始業式 校長挨拶))。その後、避難訓練、そして、引き渡し訓練/引き取り訓練へ。

 

本校の子どもたちへ

 2学期が始まりましたね。始業式の日は、お家のいろいろな人と一緒に登校しましたね。おじいちゃんやおばあちゃんと一緒の人も。妹や弟、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる人は、今度、紹介してくださいね。

校長 柘植雅義

校長室便り8

なぜ附属大塚は近隣の幼稚園・小学校・中学校・高等学校を支援するのか

(附属大塚の「支援部」という機能)

 

 障害のある子とない子が共に学び生きていくことの大切さが叫ばれています(中央教育審議会報告、障害者基本法、障害者差別解消法、その他)。

 

 附属大塚は、筑波大附属の小・中・高等学校、坂戸高等学校、駒場中・高等学校を始め、文京区等の様々な公立私立の幼稚園や学校と交流をしています。このような活動を通して、障害のある子もない子も、様々な学びを経験し、豊かな心を育てていきます。双方の子どものみならず、双方の教員の新たな学びや障害理解にも繋がります。(交流及び共同学習)

 

 一方、本校の教員のみが、近隣の幼稚園・小学校・中学校・高等学校に出かけて行って、種々の支援をしています。

 例えば、知的障害のない発達障害の子が在籍する通常学級の授業改善に向けた教師へのコンサルテーションとか、多様なニーズのある子どもの理解や指導・支援のアドバイス、教材教具などに関する情報提供とか貸与とか、校内授業研究会の持ち方の提案、保護者との連携の在り方の模索、さらには、特別支援教育の視点を盛り込んだ学校経営に向けた学校管理職へのアドバイスも。

 もちろん、障害のある子ども一人一人の観察や検査などに基づく総合的なアセスメントの実施、それを踏まえた「個別の指導計画」等種々の計画の作成、そして、実行、振り返り、というPDCAサイクルの回し方までもが視野に入っています。

 このような取り組みを一手に担うのが、「支援部」であり、実は本校が誇る最も特色ある取り組みの一つで、もう15年ほど続いています。21世紀になって間もない頃、全国で最も早くこの機能を持った学校の一つとなり、まだ国の制度として整う前に先行して実践をスタートさせたことにも大いに意義があります。全国の1000校ほどある特別支援学校をリードし続けてきました。(特別支援学校のセンター的機能)

 

 障害のあるなしに関わらず、誰もが尊重され、人権を大切にされ、豊かに学び幸せに暮らしていけるよう、国連が提唱する「インクルーシブな教育や社会」の実現に向けて、日本国内風に言えば「共生社会」の実現に向けて、附属大塚の取り組みがその一助になればと思う。

校長 柘植雅義

校長室便り7

雨と紫陽花と蝸牛

 

 梅雨のある日のこと。本校の正門前の道の向こう側、文京三中の外壁に沿って紫陽花(アジサイ)が見事に咲いています。その前を通って登校する子どもたちは、歩きながらそちらを見たり、立ち止まってじっと見つめたり、何やら手を差し出して大事に触っている子もいます。そんな中、生き物が大好きな子が、保護者と一緒に、雨粒を載せた紫陽花の前に立ち止まって、毎日、蝸牛(カタツムリ)を探します。しばらくして歩き始めて、正門のところに来て、「(校長先生)おはようございます。」

 「今日は、蝸牛は、いましたか?」と聞くと、「(残念そうに)いなかった。」

 明日は雨模様。蝸牛、見つかるといいですね。

 

 別の日の朝のこと。小さな子がお母さんと一緒に牛天神の方から急な坂道を上がってきました。柔らかい雨の中、何と、一人で傘を差しているではないですか。

 「あれ!、今日は、傘、一人で差しているの?」と聞くと、「はい、初めてです。」と保護者の方、わが子の確かな成長を何やらとても嬉しそう。母のそんな笑顔を見て、その子も嬉しそう。

 

 本校の子どもたちへ

 雨っていいですね。傘とか、紫陽花とか、蝸牛とか・・・。でも、水浸しの道を走って滑って転ばないように、顔や服が濡れてしまわないように、そして、風邪を引かないように。

校長 柘植雅義

校長室便り6

梅雨入りとなって数日したある日のスケッチ

 

 先日、附属大塚への出勤日のこと。いつものように、朝、校門で登校の様子を見守っていると、登校してくる子どもがとても少なく感じました。そういえば、多くの学部や学年が、外に出かけて学習する日でした。

 

 高等部2~3年生は現場実習の最終日。ある生徒の実習先での反省会に、進路指導主事と担任が参加するということで、同行しました。実習で上手くできたこと、もっと頑張りたかったことを、実習先の職員から聞かれて、少し緊張して、でも上手に答えていました。

 高等部1年生は、学校で自分の将来の「夢」の勉強。パソコンルームで、一人一人パソコンに向き合って、専用ソフトに自分の「夢」に関係する言葉を入力していきます。そして、同じ言葉を寄せたり線で結んだり。自分の夢、上手く描けましたか。

 中学部は、年に何回かチャレンジする、恒例の高尾山登山。梅雨入り直後ということで中止の覚悟はしていたものの、晴れて実行。頂上からの見晴らしは、いかがでしたか。

 小学部そら組(5~6年)は、学校で勉強。いつもは教室や教室前の廊下を雑巾がけするのに、その日は中学部が留守ということで、校長室・副校長室の端から反対側の中学部の端までの長い廊下の雑巾がけも。お陰で、きれいになりました。

 小学部つき組(3~4年)と、はな組(1~2年)は、水曜日から宿泊学習。2時半頃に、つき組が帰ってきました。子どもも先生も、顔が少し日焼けしたかな。週末は、しっかり休養してくださいね。

 幼稚部は授業参観と保護者会。プレールームで一人一人がそれぞれの興味関心に基づいた活動や、朝の集まりなどの参観、そして、給食の後、保護者会へ。下校の際、「入学した頃は、牛乳が飲めなかったのに、最近、好きな飲み物になりました。ありがとうございました。」とある保護者の声。

校長 柘植雅義

校長室便り5

「生きること」と「働くこと」

(小学部そら組みの宿泊学習と高等部の現場実習壮行式)

 

 知的障害のある子どもの学習は、国語や算数や音楽や体育等の教科に係ること(アカデミックスキル)と共に、将来の生きることとか働くことに向けた内容に係ること(ライフスキルとワークスキル)の習得が大切です。

 この両輪を如何に関係づけて上手い具合に構成し、年間、学期、毎月・毎週、そして、日々の授業で展開するか、知的障害教育に携わる者にとって腕の見せ所です。さらには、学部を超えて、小学部から中学部へ、さらには高等部での学習へと、一貫して継続して続いていきます。

 

 先日、5月の雨の日、午後3時頃、小学部そら組み(5・6年生)が3日間の宿泊学習から帰ってきました。お迎えの保護者らの前で一列になった子どもたちが何かとても頼もしく見えました。友達と先生とだけで3日間を過ごすという体験は、将来の自立に向けた大いなる一歩です。

 

 同じ日の午前中、体育館では、翌週から始まる高等部の現場実習の壮行式が、多くの小学部や中学部の保護者が見守る中、生徒らの司会進行で行われました。当日、体育館でのこの授業に参加しなかった生徒2名は、それぞれの場所から大きな画面に写ってライブで参加しました。また、一足早く実習に出かけている生徒はVTR参加。

 一人一人による、実習先での仕事内容と実習の目標のプレゼンでは、数枚のスライドを自分で情報端末を操作しながら自分で発表しました(附属大塚が企業と協力して最近開発したプレゼンテーションソフトの試行)。音声で上手く伝えられない生徒は友達が代読して録音してくれた音を自分で操作して流しながら。あるいは、長い台詞を全部覚えていてメモとか正面に写ったスライドを見ないで空で言えた子もいました。

 

 本校の子どもたちへ

 現場実習の壮行式で、質疑応答のときに、中学部の生徒から難しい質問を受けて答えられなくなって困ってしまった子がいましたね。後ろにいる先生の方を見て、頑張れ!と励まされたのかほっとして、そして少しヒントをもらって?、そして自分でよく考えて、その質問に上手く答えることができました。現場実習、楽しみですね。いろいろな人に助けてもらいながら、でも、一人で一生懸命頑張ってきてください。

校長 柘植雅義

校長室便り4

インドネシアとタイ

 

 5月の先日、インドネシアの大学から40名ほどの来客が、そして、翌日には、タイの大学から10名ほどの来客がありました。

 附属大塚は、国内のみならず、海外からの来客もとても多いです。政府関係者、大学の教授、学生、特別支援教育に携わる教員、などと立場や訪問の目的も様々です。

 

 インドネシアの人口は2億人で日本の倍、特別支援学校の数も2000校と、日本の倍です。インドネシアの知り合いに話を聞くと、知的障害のある子ども一人一人の複合的総合的なアセスメントを実施するということと、それを踏まえて指導の計画を作成し、指導を行い、評価を行って見直していくというプロセスの構築が、今後の課題と聞いたことがあります。

 一方、タイの知り合いからは、日本で頻繁に行われている授業研究会について、他の教員のする授業を皆で見合って、その良し悪しや今後の工夫やあり方について協議することは、恥ずかししプライドが許さないかもしれない、と聞いたことがあります。

 

 附属大塚が世界各国の特別支援教育の充実発展に貢献できることは多いと思います。その一方で、彼らから学ぶこともとても多いと今回も思いました。

 

 本校の子どもたちへ

 この前、海外からたくさんのお客様が皆さんの勉強の様子を見に来てくれましたね。お客様がお帰りになる時に、皆さんが一生懸命に勉強していたこと、とても楽しそうに勉強していたこと、そして、学校が清潔でよく清掃されていること、を褒めてくださいましたよ。良かったですね。

校長 柘植雅義

校長室便り3

 

「応援」って、何と素敵な言葉でしょう。

 

 誰かのために応援するという行為。その人がもっと上手くいくように、その人がもっと豊かに幸せになるようにと、心を込めて。英語では、Support でしょうか。でも、Support の日本語は、支援とか支持とかサポートとかに訳されますから、「応援」とは少しニュアンスが違いますね。

 

 先日、運動会の全体練習の日のこと、高等部生徒主体の開会式、中学部生徒主体の閉会式、綱引きなどの練習の他に、紅白の応援合戦の練習もありました。自分たちのチームが頑張るぞ、という掛け声と共に、双方が相手のチームの頑張りを応援する掛け声もありました。自分が精一杯頑張ること、そして、相手が精一杯頑張ること、実はその両方が大切なんだということを子どもたちにどのように知らせ、理解させていくのか。とても難しいことかもしれないけど、知的障害教育の重要な事項の一つだと思います。

 

 そういえば、何年か前、私が着任して1年が過ぎようとしていた年度末の離任式の前のこと、本校に勤務して、やがて本校を羽ばたいて行く教員や職員を「応援団」と呼ぶことにしました。定年退職しても、別の学校や職場に転職していっても、ずっと附属大塚のことを応援してください、という思いからです。

 

 本校の子どもたちへ

 もうすぐ運動会ですね。皆さんは、赤組になりましたか? 白組になりましたか? 自分のチームが勝つと嬉しいですね。でも、皆さんと同じように、相手のチームの友達も一生懸命練習をしていますね。だから、頑張っている相手のチームの友達も応援しましょうね。

校長 柘植雅義

校長室便り2

「鯉のぼり」と「鉄腕アトム」と「PTA総会」

 

 4月の下旬、連休前の晴天で風が爽やかなある日のこと。朝、校門を入ってすぐのところにある遊具のある広場で、幼稚部の教員が鯉のぼりを揚げていました。毎年この時期、毎朝の作業です。水平に張られた綱に、黒、赤、青、緑の4つの大小の鯉のぼりがぶら下がりました。登校してくる子どもたちは、「鯉のぼり!」と指をさして声を上げたり、親子で近くに行って尻尾を掴んだりします。

 

 保護者の方々は、そのまま体育館に向かってPTA総会。昨年度の振り返りと今年度の計画、新旧の理事や役員の交代、そして、新入会員の紹介など。会の冒頭、保護者の方々に校長挨拶。附属大塚は、世界最高水準の知的障害教育を目指していること、そのためには、保護者の皆さんと学校との連携が今後ますます重要になること、そして、その連携の大切なキーワードが「個別教育計画」と「合理的配慮」であること・・・。

 

 総会が半分くらい経過したとき、突然、「鉄腕アトム」の曲の楽器演奏が運動場から聞こえてきて、張り詰めた緊張が何やら少し和らいだ様でした。5月の運動会に向けた、毎年恒例の高等部生徒による入場行進曲の練習です。この曲を聞いて、先の校長挨拶で、「本校の子どもたちは皆カッコいいアトム!」そして「本校の教員は皆ダイヤモンド」と言うことを忘れていたことに気が付きました。毎年、言っているのに。

 

 本校の子どもたちへ

 運動会の練習が始まりましたね。この前、皆さんのお家の人と附属大塚の先生とが一緒に、体育館で勉強をしていたら、高等部の皆さんの演奏する「鉄腕アトム」が聞こえてきましたよ。運動会の入場行進では、皆さんのカッコいいところを、たくさんの人に見てもらいましょうね。

校長 柘植雅義

校長室便り1

「おおきなかぶ」

 

 4月になって2週間が経過したある日のこと。幼稚部から高等部まで、いつものように各教室を回りました。本校に新たに入学、進級した子どもたち、新たに本校に着任した先生方、担当するクラスや学部が変わった先生方、・・・。新しい仲間、新しいチームで、昨年度とはまた少し違った、新たな取り組みが始まりそうな予感。

 

 幼稚部に行くと、ある教員が「おおきなかぶ」(小学1年生の教科書にも載っているロシア民話)の歌を歌って、その後ろに、数人の子らが順に前の人の服を掴んで楽しそうに遊んでいました。その様子を少し離れてじっと見ていた子に、その教員が何度か声をかけて誘っても、恥ずかしいのか加わりません。でも、その先生があるタイミングで声をかけると、走り寄って行って一緒に引っ張りました。そして、おおきなかぶが抜けました。かぶがぬけて一番うれしそうなのは、その子でした。

 小学部のそら組(5~6年生)に行くと、ある子が、自分のこと、自分が春休みにしたこと、そして、他の何人かの友達のことをずっと私に話しかけてきました。昨年も、時々、そっと片言で、話しかけてくる子でしたが、こんなに長い時間、しかも、いろいろな話を分かりやすくしてくれたのは初めてだったので、とても嬉しくなりました。

 運動場では中学部の子どもたちと先生方全員が一緒にトラックをジョギング。先生方は皆、自分の担当の子や近くの子の指導をしながら、他の先生方の子どもとの関わり方や指導の仕方を丁寧に観察しているようでした。何やら、先生方が、とても頼もしく感じられました。

 高等部の1年生の教室に行くと、他の学校から入学してきた何人かの子らと、中学部から進級してきた子らと、そして他の学部から移ってきた2名の教員とで授業が始まっていました。皆、初めての高等部、にも拘らず、何やら既にしっくりとした、前から続いているような豊かな学級の雰囲気。

 

 4月の最初の2~3週間って、子どもの実態把握や、新たな教員間の役割分担、指導計画や年度計画の最終確認、そして保護者との連携協力のスタートなど、とても大切な時期なのですね。今年度も、とても良いスタートが切れました。

 

本校の子どもたちへ

おおきなかぶは、一人ではなかなか抜けません。でも、皆でいっしょに頑張ると、抜けるのですね。こんど、友だちが困っていたら、そばに行って声をかけたり助けてあげたりしてくださいね。友だちは、きっと喜んでくれますよ。そして、いつか、自分が困っているときに、きっと、助けてくれますよ。

校長 柘植雅義

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